株式会社あわえ

業種
その他サービス業
企業規模
31~100名
課題
生産性向上 / 採⽤と定着 / 地域活性化 / エンゲージメント向上
株式会社あわえは、人材採用や働き方の課題を背景に、地方での働き方やテレワークの可能性を模索・実践する中で生まれました。その過程で、地域には多くの資源がある一方で、それを活かすための技術や外部との接点、挑戦する機会そのものが十分ではないという実情も見えてきました。こうした課題意識をもとに、現在はサテライトオフィス誘致を中心とした事業を展開しています。単に企業を地方へ呼ぶのではなく、地域に足りていなかった技術や外部人材、挑戦する視点をつなぎ、地域資源の再発見や地域課題の解決につながる動きを生み出してきました。テレワークを、働き方の選択肢にとどまらず、地域と都市部の新しい接点をつくる仕組みとして捉え、地域での新しい挑戦を支える取り組みを進めています。
■YouTube動画
挑戦 : 逆境を逆手に取る「地方発」の活路
あわえの挑戦は、東京のIT企業が直面した「都市部での採用難」という壁を、地方移転という発想の転換で突破しようとしたことから始まりました。当時はまだサテライトオフィスという概念が一般的ではなかった中、積極的に整備を進める徳島県の光回線網などを活用して業務環境のインフラ整備を進めると共に、サーフィンや米作りといった「趣味と仕事の両立(半X 半IT)」を提唱しました。これが都市部で働く層の感性に響き、人材確保という難題を見事に解決しました。
さらに、自社の課題解決に留まらず、美波町の高齢化や産業衰退という深刻な現実を「全国の課題の先取り」と捉え、地域課題をビジネスで解決する専門組織として「あわえ」を設立。問題を抱える地方こそ、新しいビジネスと価値を生み出すチャンスがあるという考えが、あわえのすべての挑戦の根底に流れています。(写真はサテライト誘致の説明をする様子)

独自戦略:地域の「キーマン」と都市の「技術」を編む
あわえの独自戦略は、自治体へのコンサルティングを通じた「意志ある企業」の意図的な誘致にあります。例えば、単に地域の雇用を埋めるためのコールセンター等を呼ぶのではなく、地域の困りごとを解決したいという「志」を持つ企業を、地域のニーズに合わせてマッチングさせること。
例えば、本社のある美波町で毎年開催されるトレイルランニングレースでは、運営スタッフの高齢化や人員減少が大きな課題でした。この課題に対し、IoT技術を活用した新規事業を模索していた東京のハードウェア・ソフトウェア企業をマッチング。あわえがGPSとBluetoothを活用したランナーの位置情報共有システムを開発し、運営の省力化と大会の盛り上がりを同時に実現しました。地域が抱える運営課題が、企業にとっては新たなプロダクト開発の場となる。このように、地域資源と都市の技術を掛け合わせ、双方にとっての価値を生み出すコーディネートがあわえの最大の強みとなっています。(写真は野外イベントでの計測の様子)

また、子供たちが地方の学校に短期間通える「デュアルスクール」も、場所にとらわれない生き方を次世代に広げる独創的なアプローチです。自治体職員が自走できるよう教育・並走するスタイルを徹底しており、物理的な距離をテレワークで克服しながら、サテライトオフィス誘致を中心に全国360以上の自治体を支援する広域ネットワークを構築しています。
(写真はデュアルスクールの様子)

苦労したこと/工夫したこと:期待値のズレを埋める「通訳」の使命
最も苦労するのは、地域側と都市部企業側の間にある「期待値や視点のズレ」の解消です。地域側は「ダメなところを見せたくない」と考えがちで、一方、企業側からすればその「困りごと」こそがビジネスの種になります。この認識のギャップを埋めるため、あわえは両者の「通訳」として徹底的に動いています。
工夫のポイントは、地域の課題を企業側が「自分ごと」として受け取れる形に整えることにあります。地域で最も困っていることをそのまま提示するだけでは、企業は自分たちの関わりしろを見出せません。「この課題なら自社の新規事業や課題解決にもつながる」とイメージできるよう、情報の切り口と見せ方を意識的に設計することが重要です。
そのためには、地域の実情を深く理解するだけでなく、企業側のビジネス文脈や課題感も把握していなければなりません。双方を知っているからこそ、同じ地域課題でも「どの切り口で、どの情報を前面に出すか」を判断できる。この「翻訳」の精度が、マッチングの質を左右します。
成果・効果:地域に生まれる「新しい挑戦」の連鎖
サテライトオフィス誘致が生んだ最大の成果は、目に見える雇用創出に加え、地域に「新しい挑戦の風土」が生まれたことです。美波町では、IT企業にとどまらず、地域で新しいことに挑戦したいという志を持つ企業や人材が集まり、地元の食材を使ったラーメン店の開業や藻場の再生事業など、多彩なビジネスが次々に生まれています。
こうした外部の人間が生き生きと挑戦する姿は地域住民にも刺激を与え、「自分たちにもできるかもしれない」という機運を高めることにつながっています。
また、全国規模での支援を可能にした背景には、社員が現地に常駐しなくても機能する仕組みをつくってきたことがあります。企業との交渉や調整を自治体職員が自ら担えるよう伴奏支援を徹底した結果、各地に自走できる体制が生まれています。テレワークを活用しながら広域をカバーするこのモデルが、地方創生の広がりを支えています。
成功のポイント:実体験に基づく「当事者意識」の貫徹
あわえの成功の鍵は、自らが「サテライトオフィス進出の当事者」として、成功も失敗も経験してきた点にあります。コンサルタントとして机上の空論を述べるのではなく、美波町に拠点を置き、自らも地域の困りごとを肌で感じながら事業を運営します。この「現場感」があるからこそ、地域と企業の双方が抱く不安や期待を深く理解できる。
また、誘致の基準を「補助金の額」といった経済的条件ではなく、「マッチングの質」に置いている点も重要です。相手企業のやりたいことと地域の資源を真摯にすり合わせ、互いが Win-Win になる関係性を丁寧に設計していきます。
「どこでも働ける」時代だからこそ、あえて「その地域でなければならない理由」を、資源と課題の両面から整理して提示する。この誠実なマッチングと、地域に深く入り込む覚悟が、多様な成功事例を生み出し続けている要因と言えます。
こだわり:一人の人間が「複数の場所」で輝く社会へ
あわえのこだわりは、場所という物理的な制約を越えて、人が複数の場所で役割を持ち、貢献できる社会の実現にあります。それは大人の働き方に留まらず、子供たちの学びの場にまで及びます。「デュアルスクール」へのこだわりは、地方に住む子どもが都会の学びも、都会に住む子どもが地方の学びも、どちらも手に入れられる環境をつくりたいという思いから来ています。どこに住んでいるかで学びの選択肢が決まってしまう現状を変え、場所を超えて多様な環境を行き来できることを子どもたちにとって当たり前にしたい。そしてその経験が、子どもだけでなく家族ごと地域と関わるきっかけとなり、移住や関係人口の広がりにもつながっています。
「自分たちの街を面白くしたい」という地域の切実な思いに寄り添い、地域の人の声を拾い上げる距離感には、社名の由来となった「裏路地(あわえ)」のような親密さを大切にしています。
ITやテレワークはあくまで手段であり、目的は「人が減っても地域が挑戦し続けられる状態」を作ること。都会か地方かという二者択一ではなく、双方向を行き来しながら互いの価値を高め合う。この「混ざり合い」をデザインすることに、あわえは一切の妥協を許しません。地域の小さな声を、未来を変える大きな力へと変えていくことが、あわえの譲れないこだわりであるといえます。
アドバイス:自治体と企業へ贈る「共創」の心得
テレワークの普及により、場所を問わず多様な地域と関わりやすい環境が整ってきました。オンラインでの商談や情報収集は格段に効率化され、地理的な距離はかつてほどの障壁ではなくなっています。
しかし、あわえが大切にしている行動指針があります。『0次情報は現場にのみ存在し、その価値は継続の先にしか見えません。地域の活動や催しなど様々な「場」に足を運び、さらに一つの活動を一巡するまでやり抜きます。』テレワークで広く、深く関わることができる時代だからこそ、現場でしか得られない情報や関係性の価値は変わらない。便利なツールを最大限に活用しながら、それでも現場に足を運び続ける。その姿勢こそが、地域との本質的なつながりを生み、長く続く取り組みの土台となると信じています。
株式会社あわえ 公式ホームページ https://www.awae.co.jp/
『移住で地方を元気にする IT社長が木の会社をつくった理由』








