社団法人 日本テレワーク協会

「社員は家族」という理念がDXを加速。移動時間2時間削減と女性活躍を実現した、太陽コミュニケーションズ

「遠隔地の拠点とのコミュニケーションをとるための移動に時間がかかる…」 「子育て中の優秀な社員に、もっと長く活躍してほしい…」 「DXと言われても、何から手をつければいいか分からない…」

 

多くの企業が抱えるこうした悩みを、創業以来の温かい理念を原動力に見事に解決した企業が、山口県萩市にあります。株式会社太陽コミュニケーションズは、iPadの導入を核とした働き方DXによって、従業員の働きやすさと企業の成長を同時に実現しました。その成功の裏には、単なるツール導入に留まらない、独自の哲学と従業員への深い愛情がありました。

導入企業情報

企業名:株式会社太陽コミュニケーションズ     太陽logo
業界:生活関連サービス業・娯楽業
事業概要:

山口県萩市、長門市、島根県益田市にて、スイミングスクール、総合型スポーツクラブ、高齢者向け運動教室、公共施設の指定管理などを運営。 地域の健康づくりに貢献している。

導入前の課題(ビフォー):移動と情報共有の「時間」という壁

同社は萩市、長門市、島根県益田市と、複数の市にまたがって拠点を展開していました。 地域に根差したサービスを提供する一方で、物理的な距離が大きな課題となっていました。

【最大2時間の移動時間】

拠点間の会議や打ち合わせのため、車で片道最大2時間もの移動が日常的に発生していました。

 

【コミュニケーションのロス】

従業員の多くを占めるママさんインストラクターは、子どもの急な発熱などで突発的な休みを取ることもあります。情報共有が遅れると、シフト調整や顧客への連絡に支障をきたす可能性がありました。

 

【非効率な情報管理】

改善事例や業務連絡など、多くの情報が紙ベースで共有されており、必要な情報を探すのに時間がかかるなど、情報の共有と活用が非効率な状態でした。

 

太陽移動時間イメージ

取り組み内容・導入したDX施策 (アクション):理念を形にする「情報の環境整備」

これらの課題を解決するため、同社は「情報の環境整備」と銘打った独自のDXを推進しました。 これは、これまで徹底してきた清掃などの「物的環境整備」と考え方を一にするもので、情報を整理整頓し、誰もがアクセスしやすくすることで業務を効率化するという、同社ならではの取り組みです。

 

【全社員へのiPad導入】

全社員にiPadを支給し、いつでもどこでも必要な情報にアクセスできる環境を構築。これにより、場所に縛られない働き方を可能にしました。

 

【コミュニケーションのデジタル化】

チャットツールを導入し、日報やクレーム、各拠点での改善事例などをリアルタイムで共有。スタッフ間の迅速な連携を実現し、問題解決のスピードを向上させました。

 

【テレワーク環境の整備】

自宅でも報告書作成などの業務ができる環境を整備。これにより、移動時間を業務や自己研鑽の時間に充てられるようになり、柔軟な働き方をサポートしました。

 

導入後の成果・効果 (アフター):「時間」と「心のゆとり」を生み出したDX

「情報の環境整備」は、目に見える形で大きな成果をもたらしました。

定量的成果

【移動時間の大幅な削減】

Web会議の活用により、これまで会議参加のために往復最大2時間かかっていた移動時間が削減されました。

 

【コスト削減】

ペーパーレス化による印刷費用の削減に加え、電気使用量の「見える化」などを通じた経費削減も実現しました。

定性的成果

【女性が輝く職場環境】

ママさんインストラクターが子どもの看病などで急に休む際も、iPadを通じてスムーズに情報共有や引継ぎが可能に。安心して働き続けられる環境が整い、従業員満足度が向上しました。

 

【エンゲージメントの向上】

「社員は家族」という創業者の理念が、DXを通じて令和の時代に合った文化として浸透。コロナ禍という逆境にあっても、この理念のもと雇用を維持し、オンラインでの資格取得を支援するなど、人的資本経営を実践しました。

 

【サービス品質の向上】

拠点間で改善事例が即座に共有されるようになり、会社全体のサービスレベルが向上。迅速な情報共有は、顧客満足度の向上にも繋がっています。

 

太陽プールイメージ

 

成功のポイント・工夫した点:成功の鍵は「トップの理念」と「現場への想い」

太陽コミュニケーションズの働き方DXは、なぜ成功を収めたのでしょうか。その秘訣は、テクノロジー以前に「人」を見る、温かい眼差しにありました。

 

【「社員は家族」―ブレない経営理念】

平井専務は取材でこう語りました。「当社の社長はコロナ禍で大変だった時も、創業者の『社員は家族だ』という言葉を胸に、絶対に雇用を守り抜こうと決めていました」。この従業員を想うリーダーシップが、DX推進の原動力となりました。

 

太陽平井さん名刺2

【DXを「環境整備」と位置づけた独自哲学】

DXを単なるツール導入ではなく、全社で取り組んできた「環境整備」の一環と位置づけたことで、従業員が「自分ごと」として主体的に業務改善に取り組むことができました。

 

【現場のニーズに寄り添った施策】

従業員の約6割を占める女性、特に子育て中のママさんインストラクターが最も働きやすい環境は何か、という現場視点が施策の起点となっています。彼女たちの「働きやすさ」を追求した結果が、会社全体の生産性向上につながるという好循環を生み出しました。

 

今後の課題、取り組み:目指すは「週休2日制」。働き方改革のネクストステージへ

同社の挑戦はまだ続きます。今後は、基幹システムの完全モバイル対応や、創業から40年以上が経過した施設の計画的なリニューアルを進め、法人向けサービスの強化も視野に入れています。 「情報の環境整備」で得た力をバネに、地域にさらに貢献していく構えです。

 

 

 

あなたの会社の「当たり前」になっている移動時間や紙の文化。それは本当に必要でしょうか? 太陽コミュニケーションズのように、従業員への想いを原動力にすれば、DXはきっと、会社をより強く、より温かい場所へと変えていくはずです。まずは、自社の課題を従業員と共に洗い出すことから始めてみませんか?

関連情報・ナビゲーション

株式会社太陽コミュニケーションズHP

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