『脱・オフィス』が最強の採用戦略に。ヌーラボが自社ツールで拓いた、地理的制約ゼロの働き方
「“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」
そんな力強いブランドメッセージを掲げる、株式会社ヌーラボ。プロジェクト・タスク管理ツール『Backlog』などで知られる同社は、コロナ禍を契機に働き方を劇的に変革しました。それは単なるリモートワーク導入に留まらず、企業の成長ドライバーである「採用」そのものを根底から変える挑戦でした。
「この会社で働きたいけれど、福岡や東京には住めない」。そんな潜在的な候補者の声なき声が、あなたの会社にも眠っていませんか?ヌーラボの事例は、その壁を壊すための具体的なヒントに満ちています。
導入企業情報
企業名:株式会社ヌーラボ 業界:情報通信業 事業概要: |
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導入前の課題(ビフォー):拠点が優秀な人材を遠ざけていた
2020年以前、ヌーラボの働き方は、福岡、東京、京都の3拠点を中心としたオフィス出社が基本でした。この「場所の制約」が、見えない形で企業の成長機会を狭めていました。
【採用の地理的制約】
オフィスの通勤圏外に住む優秀な人材を採用することが困難だった。
【事業継続性のリスク】
災害時やパンデミックなど、従業員災害時やパンデミックなど、従業員が出社困難な状況での業務継続に課題を抱えていた。
【ワークライフバランスの課題】
育児・介護といった家庭の事情と仕事の両立が毎日出社必須の働き方では困難になる可能性があった。
取り組み内容・導入したDX施策 (アクション):コロナ禍を好機に『勤務地条件』を完全撤廃
2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大という未曾有の危機を、ヌーラボは変革の好機と捉えました。緊急事態宣言下で迅速にテレワーク体制へ移行。しかし、同社の挑戦はそこで終わりませんでした。
自社ツールの徹底活用で、円滑なリモート移行を実現
日頃から自社で開発・提供する『Backlog』や『Cacoo』を全社で活用していたため、大きな混乱なくリモートワークへ移行できました。
【『Backlog』による業務の可視化】 「何を・いつまでに・誰がやるか」を全社で共有。タスクの進捗が手に取るように分かるため、離れていても安心して仕事を進められた。
【『Cacoo』による認識の統一】 テキストだけでは伝わりにくい複雑な議論も、『Cacoo』で図解しながら進めることで、オンラインでもスムーズな合意形成を実現。 |
[Cacooでリアルタイム同時編集オンラインコラボレーション] |
日本全国を『職場』にするという経営判断
そして、最大の転機は2020年8月。「日本国内在住」のみを条件とし、出社の可否を問わない『勤務地条件の廃止』に踏み切りました。これは、働き方の選択肢を従業員に与えるだけでなく、「全国どこからでも優秀な人材を獲得する」という明確な経営戦略でした。
導入後の成果・効果 (アフター):採用力が全国区に!北は北海道、南は沖縄まで
この大胆な働き方DXは、目に見える形で劇的な成果をもたらしました。
【採用力が飛躍的に向上】
勤務地条件の廃止後、応募者の居住地は全国に拡大。2023年6月には、従業員の居住地が全国20都道府県を突破しました。北は北海道、南は沖縄県まで、まさに「日本中がオフィス」になりました。
【事業スピードの加速】 地理的制約なく優秀な人材を迅速に採用できるようになったことで、事業推進のスピードにも寄与しました。
【情報共有と意思決定の迅速化】 オンラインでの情報共有が促進され、結果的に情報共有のスピードが上がり、意思決定の迅速化にも繋がりました。 |
[従業員の居住地が全国20都道府県を突破] |
成功のポイント・工夫した点:成功の鍵は『自社ツール愛』と『変化を楽しむ文化』
ヌーラボの働き方DXはなぜ成功したのでしょうか。その秘訣は、ツール導入だけに留まらない、企業文化に根差した3つのポイントにありました。
①自社製品を『最強の武器』として使いこなす文化が全社に浸透。 日頃から自社ツールを徹底的に使い込んでいるため、リモートワークへの移行もスムーズでした。ツールの便利な点も、改善すべき点も知り尽くしているからこそ、効果を最大限に引き出せたのです。
[Backlogのタスク管理] |
②トップの明確なビジョンと迅速な意思決定。
コロナ禍という不確実な状況下で、「働き方を変える」という経営層の明確なビジョンと、それを迅速に実行に移す決断力がありました。このスピード感が、変化の波を乗りこなし、チャンスに変える原動力となりました。
③変化を恐れず、前向きに楽しむ従業員の存在バリューの中で掲げている一つでもある「Try First」という価値観が示すように、常識や現状ボーダーにとらわれずに新しい働き方を積極的に受け入れ、楽しもうとする従業員の存在が、改革を支える大きな力となりました。ツールや制度だけでなく、それを使う人のマインドが成功の鍵を握っていました。
今後の課題、取り組み
物理的に会う機会が減ったからこそ、新たな課題も見えています。ヌーラボは、次のステージに向けて歩みを進めています。
【偶発的コミュニケーションの創出】 オンラインでいかに「雑談」や「予期せぬアイデアの出会い」を生み出すか。
【エンゲージメントの維持・向上】 従業員同士の繋がりを深め、チームワークをさらに高めるための新たなコミュニケーション施策の実施。 |
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これらの課題解決を通じて、自社製品である『Backlog』や『Cacoo』をさらに進化させ、顧客が体感する価値を高めていくという、次なる好循環を目指しています。
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