社団法人 日本テレワーク協会

社長一人の電気工事店がDXで業界を変える!
ラブタス株式会社が拓く、建設業「働き方維新」の全貌

「創業期の"ひとり社長"でも、DXを武器にすれば業界の未来だって描ける」。福岡市で電気通信工事と建設業向けDXコンサルティングを手掛けるラブタス株式会社。代表の利島慶昭氏は、この信念のもと、2024年の創業以来、自らを「実験台」としながら、驚異的なスピードで働き方DXを推進しています。煩雑な事務作業、顧客開拓、そして業界構造の課題…これらに真っ向から挑む同社のDX戦略は、多くの企業にとって、規模を問わず実践可能なヒントに満ちています。その「奮闘」と「未来への羅針盤」を、ここに解き明かします。 

導入企業情報


利島社長

企業名:ラブタス株式会社
業界: 電気通信工事業、電気工事業、消防施設工事業、DX商品の販売、中小建設業のDX化コンサルティング
事業概要: 電気通信・電気・消防設備工事を主力に、中小建設業のDX化を支援。顔認証デバイス等も提供。
所在地: 福岡県福岡市博多区吉塚本町9-15-504
従業員数: 役員2名(実質的な業務は利島社長がほぼ一人で対応)
創業: 2024年7月

導入前の課題(ビフォー):「時間がない!」創業社長の悲鳴と業界の構造的疲弊

「創業はしたが、手が回らない…」。多くのスタートアップが抱えるこの悩みは、ラブタスも例外ではありませんでした。


【ワンオペの限界】 

営業から設計、施工、請求まで全業務を社長一人が担い、まさに時間との戦いでした。


【利益を生まぬ間接業務】 

書類作成や移動など、利益に直結しない作業が経営を圧迫していました。


【新規顧客獲得の道筋】 

前職からの繋がりだけでは、事業の飛躍的成長は見込めませんでした。


【建設業界の構造的課題】

 低い労務単価、深刻な人手不足と高齢化、そして「2024年問題」という待ったなしの状況が、利島社長の危機感を募らせていました。 「このままではいけない」という強い思いが、DXへの挑戦を後押ししたのです。

 

取り組み内容・導入したDX施策 (アクション):「自分最適化」から始める、戦略的デジタル武装

利島社長が選択したのは、身の丈に合ったツールを徹底的に使いこなし、まずは「自分自身の業務」を最大効率化することでした。

 

 

【顧客接点のデジタル化】 

Googleビジネスプロフィールの整備で新たな顧客層へアプローチ。LINE公式アカウントも活用し、顧客とのコミュニケーションを円滑にしています。

「秘書」としてのGoogle Workspace】 

スケジュール管理はGoogleカレンダーをフル活用。協力会社とも共有し、ダブルブッキングを撲滅、移動時間を最適化しています。


[Googleカレンダー]

 【見積もり・案件管理のスピードアップ】 

マネーフォワードの見積もり機能や、導入予定の工事専用案件管理ツール「KANNA」で、見積もり作成から案件進捗、収支までを一元管理する体制を構築中です。 目指すは「スマホ一つで完結する」機動力です

 

会計業務はクラウドで8割削減へ】 

マネーフォワードを導入し、税理士とも連携。 これにより、かつて煩わしかった会計処理業務の大幅な時間短縮を見込んでいます。


【「健康」もDXで管理】 

将来の仲間たちのために、ヘルスケアウォッチを導入。 日々のバイタルデータを共有し、健康意識を高めるという、ユニークな「健康経営DX」にも着手しています。

[ヘルスケアウォッチ] [測定結果]

まず自分が使ってみて、本当に効果があるものを。この徹底した現場主義が、ラブタスのDXを加速させています。

 

導入後の成果・効果 (アフター):時間創出、コスト削減、そして「未来への投資」

多くの施策は緒に就いたばかりですが、DXがもたらすであろう具体的な変化は、すでに鮮明に見えています。

 

 【圧倒的な時間創出】

特に会計処理は8割削減という野心的な目標を掲げています。創出された時間は、さらなる顧客開拓や高付加価値業務、そしてDX戦略の深化へと再投資されます。

 

【経営の「見える化」】

案件ごとの収支や進捗がリアルタイムで把握可能になることで、迅速かつ的確な経営判断が下せるようになります。

 


    • 目標(売上・利益)進捗管理の画面

      [スプレッドシートで自作した目標(売上・利益)進捗管理]

【「働きがい」と「健康」の両立】

健康経営DXは、単なる福利厚生を超え、生産性向上、そして将来的な人材獲得においても強力な武器となるでしょう。

 

成功のポイント・工夫した点:「まずやってみる」精神と、業界変革への情熱

ラブタスのDXが力強く進む理由は、利島社長の「まず、自分が変わる」という強い当事者意識と、業界全体への熱い想いです。

 

 【「自分ごと」としてのDX】

「ワンオペの非効率を何とかしたい」という切実な課題感が、全ての原動力です。

 

 【徹底した費用対効果】

「プロジェクト管理ツールは、増員する人件費と比較して安いか」など、投資判断の基準は常に明確です。

 

【 外部の知恵を積極的に活用】

福岡市のDX支援プログラムなどを活用し、専門家のアドバイスを素直に取り入れています。

 

【「健康」という新たな付加価値】

創業初期から健康経営をDXと結びつける視点は、他社にはないユニークな強みです。

 

【 業界の未来を照らす灯台に】

利島社長は熱く語ります。「建設業は社会に不可欠な一方、多くの課題を抱えています。デジタル化で働き方を改善し、若い世代にも魅力的な業界にしたい中小企業目線のDXこそが、その鍵です」。 この使命感が、DX推進の揺ぎない土台となっています。

 

今後の課題、取り組み: 「個」のDXから「組織」のDX、そして業界全体の変革へ

ラブタスの挑戦は、まだ序章に過ぎません。

 

【「仕組み」の確立と人材採用】

DXで効率化された業務フローを標準化し、新たな仲間を迎え入れ、組織としてスケールアップすることが次の大きなテーマです。

 

【DXツールの効果最大化と定着】

導入したツールを全社的に使いこなし、その効果を最大限に引き出すための運用改善を継続します。

 

【「攻め」のDX投資】

ホームページなどを活用した本格的なオンラインマーケティングや、さらなる高付加価値サービス開発にもDXを活用していきます。

 

ラブタス株式会社のDXは、一人の経営者の挑戦から始まり、やがては業界全体の働き方をも変革する可能性を秘めています。その歩みから、私たちは多くを学ぶことができるはずです。

 

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