社団法人 日本テレワーク協会

会長挨拶

会長挨拶

当協会は1991年1月に日本サテライトオフィス協会として設立され、2000年に現在の日本テレワーク協会へ名称変更を経て、テレワークという働き方の調査研究、普及促進活動を展開して参りました。設立以来およそ30年にわたり、我が国唯一のテレワーク普及推進活動団体として新しい働き方改革を提案するなど、多くの役割を担ってきたと自負しております。

 

さてご承知の通り、2019年4月の「働き方改革関連法」の施行後、新型コロナウイルス禍を経て、日本人の働き方も大きく変化してきました。場所と時間に捉われない柔軟な働き方であるテレワークは、いまや不足する総労働力の確保や生産性の向上、そしてウェルビーイングの実現にも欠くことができない働き方の選択肢として、特に大都市圏において急速に普及し定着してきました。

 

一方2023年5月以降、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行したことにより、一部の企業ではオフィスへの出社を促す職場回帰の動きも見受けられます。テレワークは多様な働き方の幅を広げるとはいえ、無条件にあらゆる業種、業務に適しているわけではありません。また東名阪などの大都市圏と比較し地方での普及は十分とは言えず、職場のコミュニケーションや孤独感あるいは人事評価の在り方などの課題も指摘されています。

 

しかしながらオフィスで働くか、テレワークかの二者択一ではなく、今日のような複雑で多様性ある社会においては、家庭環境やライフステージ、仕事の性質などに応じて各人が豊かで能力を発揮し易い自分らしい働き方を選択できるかどうかが重要なのではないでしょうか。そのためにはデジタル技術を駆使して従業員間のコミュニケーションを改善するとともに、個々の能力を引き出す環境や制度の整備を通し生産性を向上することが必要です。

 

言うまでもありませんが、テレワークは導入そのものが目的ではありません。テレワーク導入は、働き方改革や組織統治の在り方を含め常に変革を目指す活力ある組織をどのように創り上げていくかという点で大切な手段の一つです。そういう意味で、当協会が今後取り組むべきことはまだまだ多いといえます。

 

日本テレワーク協会の理念は「テレワークの普及・啓発を通して企業や地域が活性化し調和のとれた日本社会の持続的発展に寄与する」です。テレワークの普及・浸透を前提とした働き方改革は、この理念実現のための「一丁目一番地」でもあり、我が国の企業や地域の持続的発展に向けて、微力ながらご期待に添えるよう精一杯邁進してまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りたくお願い申し上げます。

 

尚、弊協会ではコロナ禍を経た今だからこそ、テレワークはどうあるべきかを改めて考える好機と捉え、「場所や時間にとらわれない暮らしと仕事のスタイル」というテーマを掲げ会員各位とともに、これからのテレワークの在り方と働き方を検討しHPにて随時情報を発信して参ります。是非ご覧ください。

 

日本テレワーク協会
会長 栗原 博  
2023年10月