会長挨拶
当協会は1991年1月に日本サテライトオフィス協会として設立され、2000年に現在の日本テレワーク協会へ名称変更を経て、テレワークという働き方の調査研究、普及促進活動を展開してまいりました。設立以来30年以上にわたり、我が国唯一のテレワーク普及推進団体として、新しい働き方を提案し、制度や意識の変革を後押ししてまいりました。
ご承知のとおり、2019年の「働き方改革関連法」の施行に加え、新型コロナウイルスの世界的流行は、日本人の働き方や組織の在り方に大きな変革をもたらしました。テレワークは、時間と場所の制約から働き手を解放し、労働力の多様化、生産性向上、さらにはウェルビーイングの実現に貢献する新しい働き方の選択肢として定着しつつあります。
一方で、感染症法上の5類移行を契機とした職場回帰や、テレワークにおけるマネジメントや人材育成の難しさ、評価制度の見直しなど、新たな課題にも直面しています。また、都市部と地方の間でテレワークの浸透度には依然として大きな差があり、地域格差の是正も急務となっています。
そのような中、テレワークを一過性の働き方ではなく、Society 5.0の実現に向けた社会全体の構造改革の一環として捉えることが求められています。5GやIoT、生成AIなどの先端技術と融合した「働き方DX」を通じて、個人の力を最大限に引き出し、人的資本経営に資する環境整備が重要です。組織における多様な人材の活躍を支えるしくみや文化の醸成こそが、日本社会の持続可能な成長の鍵となります。
テレワークは単なる制度ではなく、企業・自治体・教育機関・地域社会など、あらゆる組織が未来を見据えて変革を遂げていくための基盤です。当協会は、これからもテレワークを中心に据えた柔軟で創造的な働き方の社会実装を推進し、変革に挑む皆さまとともに、持続可能な未来を切り拓いてまいります。
当協会の理念は“情報通信技術(ICT)を活用した、場所と時間にとらわれない柔軟な働き方である「テレワーク」を、広く社会に普及・啓発することにより、個人に活力とゆとりをもたらし、企業・地域の活性化による調和のとれた日本社会の持続的な発展に寄与する”ことです。ポスト・コロナのいまだからこそ、「場所や時間にとらわれない暮らしと仕事のスタイル」の意義を再確認し、会員の皆さまと共に次代の幸せな働き方を探求し、情報発信してまいります。
引き続き、皆さまのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
一般社団法人 日本テレワーク協会
会長 吉澤 和弘
2025年6月