本レポートシリーズは、「一定以上の定着」を見せながらも、「今後に向けた課題とチャレンジ」がよりクリアになりつつある、「テレワークのいま・・・」につき、その状況を、公知資料を基にした分析洞察、並びに、弊協会会員企業等へのインタビューなどから、明らかにしてまいります。
Index
第1回 テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その1 |
2024.11.29 | |
第2回 テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その2 |
2025.1.16 | |
第3回 自治体のテレワーク・DX活用への挑戦 その1 |
2025.2.14 | |
第4回 テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その3 |
2025.2.20 |
第1回 テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その1
第1回は「テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その1」として、コロナ禍により、業務の在り方が変容してきたなか、より効率よきサービス提供にチャレンジする変化を、お伝えいたします。
柔軟かつ安定的な運営を可能にする、コンタクトセンター業界でのテレワーク拡大
コロナ禍により、在宅ワークの選択肢が広まりました。コールセンター/コンタクトセンター業界も、その例外ではありません。
もともとの電話に加え、メール、SNS、チャットといった、ICT(情報通信技術)全般による非対面でのお客様コミュニケーション窓口を担ってきたコンタクトセンターですが、その運営側の事情としては、運営の安定性を担保しながらも、コストをどう柔軟に最適化していくか、という課題があります。
その課題に対して、以下の2つの方向性で対処できたことが、コンタクトセンター業界におけるテレワークの拡大の背景にあるといえます。
- セキュリティ性の高いクラウドサービスをはじめとした様々なICT技術革新・普及を活用することで、少子化・高齢化などからくる人員確保の困難さを、多様な働き方の担保をしながら、乗り越えられるようになってきたこと。
- コロナ禍により、分散業務を柔軟に安定的に実施できることが、コンタクトセンターにとっての必要要素と改めて見直されてきたこと。
テレワーク時代に一層大切な「気軽な、安心できる、コミュニケーション」
とはいえ、非対面でお客様に向き合うコンタクトセンター従事者にとって、メンタル面の維持管理は業務に安定的に臨むうえで、大切です。特に、在宅ワークで臨む場合は、殊更です。
その意味では「気軽な、安心できる、コミュニケーション」を取り続けられる工夫が大切になってきます。そうした工夫は、仕事として向き合うお客様にとっても、プラスの効用をもたらすものです。
センターで従事していても、在宅で従事していても、業務環境やセキュリティ、またお客様・同僚とのコミュニケーションを変わらず遂行できる・・・これが、テレワーク時代のコンタクトセンターにおいて、1つの理想形であると思います。
今後も様々な工夫が進んでいくものと思われます。
地方拠点にとってますます有利な、コンタクトセンター業界でのテレワーク
人材の確保しやすさ、そして働きやすさへの工夫もあいまって、三大都市圏以外でのコンタクトセンター数は着実に増加しています。リックテレコム社「コールセンタージャパン」編集部の2024年夏の調べでは、コールセンター拠点数が20を超える道県は、9つにのぼっています。
仮に、コンタクトセンターの募集賃金水準が、全国で一律に近い形をとることができるならば、地方拠点においては、地場賃金に比べて相対的に応募者が集まりやすく、結果的に、高スキルの方にまとまって従事いただける可能性が高まります。
更に、在宅ワークを組み合わせることで、家庭の事情や、自営・兼業等の状況をも鑑みた形で、そうした高スキル人材の方に対しても、柔軟な働き方を担保することが可能です。
次回は、そうしたコンタクトセンターの地方拠点をめぐる状況につき、実際に当会会員企業にお話を伺ってみたいと思います。
第2回 テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その2
第2回は「テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その2」として、当会会員企業である、富士通コミュニケーションサービス様の松山サポートセンターでの取り組み模様を、お伝えいたします。
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ご対応いただいた松山センターの皆様 写真左より 田中 勝也 さま (シニアマネージャー) 真嶋 優 さま (シニアマネージャー) 越智 繭子 さま |
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時代に機敏に対応しながら、テレワークを大胆活用して、安定した運営を実施
富士通コミュニケーションサービス松山サポートセンター(以下MSC)は、松山市内の最も中心部、いよてつ松山市駅の至近に位置します。2003年の開設以来20年を越え、コロナ禍を乗り切り、安定した運営を実現しています。現在の従業員は360名あまり。女性比率はうち3/4、そして完全テレワーク比率も1/3以上と、働きやすいワークプレイスを実現されています。
MSCの部門の一つでは、コロナ禍以前から、テレワークへの取り組みを進めてきていました。紙ベースでの業務資料のやり取りが多かったところから、徐々にデータ化を進め、お客様要望や家庭事情等でどうしてもテレワークが困難な方々を除き、全員がテレワークをできる体制を整えてきました。
MSC開設当初より、様々な部門が加わり、その入れ替わりも生じてくるなか、稼働量に合わせたオフィススペースの柔軟な調整も実施してきました。さらに、テレワークの浸透によりオフィス内の座席数を適切に確保調節することができるようになり、オフィススペースの有効活用を一層進めることができる状態となっています。
広々とした共用スペース。憩いそしてイベントの場。天井が高く開放感がある。
テレワークの活用拡大による、働く方々のメリット
~安心して働けるワーク・ライフ・バランスの確保~
松山市は人口約50万人。朝晩の交通渋滞も激しく、また電車・バス等の運行スケジュールも限られることから、通勤は、MSCで働く方々にとっても少なからぬ課題でした。さらに、小さなお子様を抱えて働かれる方々にとっては、保育園の送り迎えの時間確保も、大きな課題でした。
しかしながら、テレワークの浸透により、自宅近くに保育園を確保されている方々にとっては、通勤時間を削減できたぶん、より多くの時間を働くことができるようになりました。また、お昼休みなどの隙間時間を利用して、買い物や洗濯、夕食準備などの家事も進められるようになり、時間の有効活用が進むようになりました。さらに、24時間サポートが必要な業務が生じた場合においても、シフト制にて、自宅で、安心して働けるようになりました。
これらの結果、MSCにおいては、正社員・準社員・無期契約社員といった、長期雇用形態で働かれている方々が8割を超えるに至っています。さらに10年以上勤務されている方も半数以上、そして離職率も極めて低率、と、安心して働ける環境が整っている状況がうかがえます。
MSC玄関。クリスマス気分が華やぎ、愛媛県のミカンの葉の色での内装がポップさを演出。
テレワーク中心での柔軟なコンタクトセンター運営を可能とした秘訣
現在MSCでは9つの業務部門を擁します。テレワークがこれだけ浸透する中、仕事のやり方が複雑になっているのではないか、とも想像していましたが、そこは様々な工夫でカバーされていました。
まず、TeamsやViva Engageといった、オンラインでのコミュニケーションツールをふんだんに活用し、いわゆる孤立感といったものを一切なくす工夫を進めてきました。さまざまな周知にも蚊通用し、また、困ったときは気軽に相談できる、チームのほかのメンバーが何をやっているかすぐにわかる、そうした個々のメンバーの心理的な安心感を担保することに、工夫を進めてきました。
また、部門リーダー間の密なコミュニケーションも見逃せないところです。業務上繁忙期・閑散期の生じやすいコンタクトセンターですが、稼働の柔軟な融通を前以てリーダー間で相談し、気心知れたメンバーもそれに対応できる、そうした雰囲気を醸成してきました。
さらに、お客様が安心できる、セキュアな業務基盤を築き上げてきたことも大きいです。各種ネットワーク・システム・ツールを活用した二重三重のセキュリティで、ゼロトラスト時代にも対応した業務環境を築いています。
今回、松山センターを取材させていただいたのは、当協会のテレワーク川柳が1つのご縁となりました。センター内で川柳大会を開催されるなど、地元・愛媛ならではの良さを、ふんだんにイベントそのほかのセンター運営に取り込み、テレワークを上手に活用しながら、センターとしてのチームアップを図っていく、そうした細やかな工夫が、印象に残りました。
次回以降は、コンタクトセンターに加えて、自治体戦略についても、テレワーク・ニューノーマルの状況を探ってまいりたいと思います。
第3回 自治体のテレワーク・DX活用への挑戦 その1
本レポートシリーズは、「一定以上の定着」を見せながらも、「今後に向けた課題とチャレンジ」がよりクリアになりつつある、「テレワークのいま・・・」につき、その状況を、公知資料を基にした分析洞察、並びに、弊協会会員企業等へのインタビューなどから、明らかにしてまいります。
第3回は「自治体のテレワーク・DX活用への挑戦 その1」として、各地方自治体に共通するであろう状況を踏まえつつ、どういった道を目指していくべきか、について、お伝えいたします。
テレワーク推進は、自治体におけるDX推進施策の一環の側面も
地方自治と情報通信の双方を所管する総務省では、テレワーク推進を、情報通信技術(ICT)利活用の促進施策の一環としても位置付けると同時に、地方自治体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進施策の一環としても位置付けています。
令和2年(2020年)から同省にて開催されている、「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」においても、直近の昨年10月の検討会では「自治体フロントヤード改革に係る手順書の作成」が議論され、そのなかでも「リモート窓口」が1つの柱として挙がっていました。
とはいえ、地方自治体におけるテレワーク・DXへの取り組みは、自治体によって様々です。
その要因は、主に以下の5つといえます。
- 推進する人材(トップ層、現場層、専門家層)の状況が様々
- 取り組みにあたって投下可能な予算状況が様々
- 自治体内外で活用可能なノウハウ・リソースの状況が様々
- 自治体内部のプロセス見直しと、自治体の「顧客」ともいえる住民・企業等活性化との、比重・バランス・連携状況が様々
- 住民・企業等からみて、自治体のテレワーク・DXへの取り組みにつき、認知され後押しされている状況が様々
総務省やデジタル庁をはじめとした中央省庁でも、様々な共通基盤支援/共有可能なノウハウ支援 をしていますが、こうした自治体個別の状況に適応しながら、全体としてテレワーク・DXを進めていくには、確固たる道標と弛みない努力・工夫が大切な状況は、続いています。
自治体トップ層のコミットメントも重要な、明日を支える喫緊の取り組み課題
とはいえ、地域人口も、公務員職員数も、今後、維持していくことが容易ではないなかで、テレワーク・DXの活用により、いかに柔軟に自治体サービスを維持し、かつ、職員の皆様にとっても働きやすい環境を整えていくかは、喫緊の課題でもあります。
前例主義、という言葉が、とかく引き合いに出されがちですが、テレワーク・DXの活用については、十分な前例があるとはいえないため、自治体としての道標づくり、創意工夫、そして自治体どうし・自治体内外でのノウハウ共有が、極めて大切になってきます。
またそこでは、新たにその自治体を支えていく層である、若年層からの支持も、長い目で見て、大切になってきます。
こうした広くそして長い視野が必要となってくる際に、先に挙げたトップ層は特にその重要性を増してきます。トップ層がしっかりとコミットすることで、現場層や専門家層も、より生き生きとして、地に足をつけた明確な目標を以て、当該自治体におけるテレワーク・DX推進に取り組みやすくなります。
将来にわたって重要となる、自治体におけるテレワーク・DXへの取り組みスタンスとは?
テレワーク・DX共に、取り組みとしては軌道に乗りつつあるものの、可能性と課題とが相半ばしている、というのが、少なからぬ自治体の現状でしょう。
そこにはやはり、人対人の直接の触れ合いを大切にしていきたい気持ちもあり、また、これまでのやり方が変わることに対する不慣れや不安もあり、他方、取り組みが進むことによる、新たな働き方の定着や、新たな人材の定着、新たな人的交流の拡大、といった希望もあり、という多様な背景があるものかと感じます。
が故に、他自治体の事例を参考にしつつ、自らの自治体に適用することも、直ちには容易にいかないものかもしれません。
こうしたなか、多様な背景のバランスをとって進めていく際に最も大切なのは、将来にわたってその地域を背負っていくであろう、住民、企業、そして自治体の若手の方々です。「デジタル・ネイティブ世代の意見をどううまく取り入れ(そして、よりシニアな皆様の意見をどう取り入れ)、サステナブルなテレワーク・DX環境を作っていくか」がその自治体にとりチャレンジであり、かつ、長い目で最も大切なことと思われます。
ここの力点がはっきりしてくると、他自治体/他企業から何を参考にしていけば、自らの自治体の良さをテレワーク・DX活用において光らせられるか、という点が、クリアに出来てくるかと思います。
古くから、地元の良さに、外部の良さをうまく取り込みつつ、伝統を紡ぎ高めてきた歴史を持つ各地域にとって、そうした営みを進めていくことは、「言うは易く行うは難し」と一見みえつつも、一旦着手してみれば、そう難しいことではないと思われます。そうした営み自体が、それぞれの自治体・コミュニティにおける各種課題を乗り越え、明日を照らす、道標としての希望になっていくのではないか、とも感じます。
次回以降は引き続き、コンタクトセンターおよび自治体における「テレワーク・ニューノーマル」挑戦状況につき、実際に当会会員組織にお話を伺っていきたいと思います。
第4回 テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その3
本レポートシリーズは、「一定以上の定着」を見せながらも、「今後に向けた課題とチャレンジ」がよりクリアになりつつある、「テレワークのいま・・・」につき、その状況を、公知資料を基にした分析洞察、並びに、弊協会会員企業等へのインタビューなどから、明らかにしてまいります。
第4回は「テレワーク時代のコンタクトセンターの挑戦 その3」として、当会会員企業である、ビーウィズ様の取り組みを、お伝えいたします。
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ご対応いただいたビーウィズの皆様。 写真左より 酒井 匡 さま (執行役員 事業戦略企画部長) 早川 智子 さま (事業戦略企画部 副部長) 井口 大 さま (事業戦略企画部 マネージャー) |
コロナ禍以前から培ってきた、自社クラウド技術を活用し、コンタクトセンター業務を在宅型にも本格展開
ビーウィズ社は、パソナグループに属し、東京証券取引所プライム市場に上場する、コンタクトセンター大手の1社です。
同社のユニークな特徴として、自社グループにてクラウド型のコンタクトセンターシステム(Omnia LINK)を開発・保有している点があります。もともとこの営みは、コンタクトセンターシステムをシステムベンダー依存しているところから脱却し、コスト競争力を高めるために始めたものですが(2017年に外販も開始)、コロナ禍となって、ビジネス継続性(BCP)の観点から、この独自性が活かされることとなりました。
クラウド型の自社システムを活用することによって、集合センター受付型でなくとも、在宅テレワークにてセンター展開することが容易にでき、コロナ禍のなかでも十分な受付席数を安定的に確保できる業務環境に至り、これはその後の度重なる災害等でも活かされることとなりました。
業務特性やクライアント要望を踏まえながら、徐々に自社クラウド型システム活用範囲を拡大し、現在では電話対応業務におけるシステムの8割強を賄っています。
また、コロナ禍によって、非対面の生活様式が大きく広がり、それにあわせてクライアント組織においても顧客接点のデジタル化が進み、店頭等での実接触からコンタクトセンター等への需要シフトも進みました。更に、働き方としてのテレワークが、働き手からもクライアント組織からも十分な認知を得ることにもなり、これもコンタクトセンターにおける人手不足解消の一助となりました。

内製化したクラウド型コンタクトセンターシステム「Omnia LINK」(同社IR資料より)
在宅型コンタクトセンターの行方
一定の定着を見せた在宅型コンタクトセンターですが、「今後は、集合センター受付型への一方的な揺り戻しはなく、在宅型と集合型のハイブリッドが主流になる」と酒井さんは断言します。
一口にハイブリッドといっても、さまざまなパターンがあり、業務ごとに在宅人員と集合型人員とのバランスがとれる、というパターンもあれば、働き手お一人のなかで、在宅シフトと集合型シフトを期間内でミックスされる、というパターンもあるとのことです。
こうしたハイブリッドが主流になる要因ですが、クライアント組織側の事情として、セキュリティポリシーや個人情報取扱の厳格さ、もしくは本業との連携円滑化による集合型形式への支持がある一方、働き手の事情として、通勤の削減、家事育児との円滑な両立等による在宅型への支持、という双方が存在することが、背景にあるようです。
実際、在宅型勤務が可能な案件には、そうでない案件の10倍規模の応募があり、採用コストの抑制・優秀人材の獲得につながりやすいとのことです。
また、ハイブリッドは結果として、従業員リテンションにもつながる部分がある様子で、欠勤率や退職率(特に職について間もない初期離脱率)を抑制できる効用があるそうです。
集合型であっても、在宅型であっても、自社開発の同一システムで業務にあたることができるため、働き手ご自身の状況や業務都合にもあわせて、就労場所を選択できることも、リテンションにつながっているようです。これは、クライアント組織からしても、より長期の雇用継続が望め、かつクライアント組織に関するナレッジの共有度が上がるというメリットがあるようです。
東証プライム市場上場を記念して作成したもの。全社員の氏名が記載されているとのこと。
在宅型コンタクトセンターでの勤務をより快適にしていくために
コロナ禍において、既存クラウド型システムを活用して、在宅型勤務にシフトを進めた同社にとっても、やはり試行錯誤は様々あり、それらを乗り越えて、現在に至っているとのことです。
まず、対人面では、オンラインであっても、日々の声掛けや朝会などを丁寧に実施し、フランクに話せる環境を維持することが最も大切と考えています。
また、システム活用面では、クラウドの特性を生かして、集合型であっても、在宅型であっても、同一システムで受付ができる状態を確立しました。このシステムには、モニタリング機能(Be-mon)も備わっていますが、「スーパーバイザーがオペレーターを一方的にモニターする」スタイルではなく、「(音声認識によるやり取りの文字化などを、リアルタイムで実現しながら、)スーパーバイザーもオペレーターも、同一画面を見つつ、情報を共有しあう」ところに特色を持たせています。
元々このBe-monは、研修用ツールとして自社開発したものですが、コロナ禍での在宅型の広がりを踏まえて、研修ツールから状況共有ツールへと改善・発展していった経緯を持っています。利用しているオペレーターも、監視されている、という感覚ではなく、見守られている(何かあっても、いつでも助け舟を出してくれる)、という感覚で活用しているため、定着度の向上に貢献している、ということです。
AIを活用した顧客接点トータルソリューションTetoty (同社資料より)
DX時代におけるチャレンジ
内製でシステムを開発し、日々の活用を通じて磨き上げることで、在宅型を含めたコンタクトセンタービジネスを発展させてきた同社にとって、今後のチャレンジは、ますます進む、顧客接点の非対面化/デジタル化への対応です。
特に、コンタクトをされてくるエンドユーザーにフルサポートで応えるために、最初はエンドユーザー自身で知りたい答えを探せる仕組みづくり(FAQの活用、AIチャットボット等の活用)から、どうしても人による対応が必要な機微な内容のものをオペレーターにつなぐ、そういった一貫した設計・運用が、顧客接点ソリューションの主戦場になってきつつあります。
同社もTetoryというシステムで、ここに参戦をはじめていますが、AIベンダー、コンサルティングベンダー等、様々なプレイヤーが、それぞれのバックグラウンドを持ちつつアプローチしている中、「自社開発システムを、在宅型を含めた実オペレーションにて磨き上げてきたこと」に強みを持つ同社が、いかにして柔軟に、差異化を以て臨んでいくかは、同社にとっても、日本の顧客接点ソリューションの進化にとっても、チャレンジになりそうです。
次回以降も引き続き、自治体戦略及びコンタクトセンター戦略について、会員組織インタビューも交えながら、テレワーク・ニューノーマルの状況を探ってまいりたいと思います。
(つづく)
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著者:主席研究員 岩田祐一 NTT持株/東日本/コミュニケーションズ、並びに、情報通信総合研究所、NTT Capital UK、NTT Europe、中曽根平和研究所、NTTセキュリティ・ジャパンなどを経て現職。専門はデジタル時代のセキュアな発展戦略及びリスク対応戦略全般。 |