労働時間を短くして生活も豊かにできる働き方を

宇治:テレワーク普及の大きい流れの中で、労働時間制度のあり方も重要だと思います。

村木:働き方全体の問題として、労働時間制度のあり方について、裁量労働制やフレックスタイム制の見直しを含めて議論しています。労働時間を自分でフレキシブルにマネジメントする働き方においては、雇用管理のノウハウを確立することが重要で、また長時間労働にならないようにするとか、健康管理をしっかりやるということも念頭に置くことが重要と考えています。

宇治

テレワークを実施する際にも同じことが言えます。つまり、「労働時間を短くして生活も豊かにできる働き方」を実現するための良質なテレワークを普及することが大切であると思っています。

 

宇治:時間ではなく成果で評価する裁量労働的な働き方は、働き過ぎを招く心配もあります。

村木:机に長く座っていると良く働いているという発想が根強い反面、労働時間は一切管理せずに成果で見ようという意見もあります。しかし大きな落とし穴もあって、仕事の種類によって自分でマネジメントできる仕事と、量をこなした分しか成果を出せない仕事があります。そこは、きちんと区別をしなくてはいけません。 

それから健康管理は必須でしょう。今年、議員立法で過労死等防止対策推進法ができ、11月には過労死等防止啓発月間の取り組みも行いました。健康を維持できるような労働時間管理を大前提に、いつどこでやるという壁を越えて、自分自身がより効率的な仕事のやり方を選べるようにしていきたいと思います。

まずは週一回の在宅勤務で新しい働き方を実践

宇治:テレワークを促進するための施策で、テレワークデーやウィークといった啓発も面白いと思います。

村木:そうですね。テレワークデーのやり方として、本当にテレワーカーの人数が増えるにつれて、目に見えて交通量が少なくなったりすると面白いと思います。

でもテレワークというと「自分の会社ではちょっと」という状況なので、「まだ毎日出勤しているの?」という会話が日常的にできるようになると良いですよね。

宇治:省庁や役所でテレワークが進むと、日本のマインドが変わってくると思います。

村木:省庁でもテレワークの取り組みを始めましたし、厚生労働省でも育児、介護をしている人の中には、在宅勤務の希望が強い人も結構います。役所では対面でやる仕事が多いのですが、自宅でできる業務もあると思います。上手に集約して週のうちの何日間は在宅でというような形ができれば、大変面白いと思います。

宇治:テレワークというと、1週間ずっと在宅勤務だと勘違いする人がいますが、週に1回在宅で勤務するだけでも効果が見込めます。

村木

村木:テレワークを行うためには、仕事の組み立てを整理する必要があります。また通勤時間の節約分をどう使うか等、いろいろなことを考えるきっかけになりますよね。

政府の目標でも週1日在宅勤務の就業者数の増加を設定していますし、この週1日というのは一つのステップとして、大変重要なポイントだと思っています。

厚生労働省としても、宇治会長をはじめ、貴会にもご協力頂きながら、引き続きテレワークの普及促進に取り組んで参りたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。

宇治:本日は、多岐に渡って有意義なご意見を頂きありがとうございました。テレワークは、女性活躍や地方創生で期待されていると共に、ワークスタイル変革をもたらす新しい働き方としても、大いに注目されています。 

今後は協会としましても、省庁との連携を更に強化して、テレワークの啓発と普及促進に取り組んで参りたいと思います。本日は、ありがとうございました。

作成:一般社団法人 日本テレワーク協会(H27.1)

印刷用PDFはこちら

⇒対談トップに戻る